今回のコラムは「九州の2つの古楽祭」について書いてみたいと思います。
九州の古楽祭と言えば、福岡で行われる「新・福岡古楽音楽祭」は皆さんよくご存じのことだろうと思います。先日10月16-19日で主にアクロス福岡を舞台に行われ、盛会のもと終了いたしました。その話は後段にゆずり・・・。
まずは、25年の歴史を誇る「別府古楽音楽祭」について書き起こしてみたいと思います。

「別府古楽音楽祭」は、大分県立芸術短期大学の元教授、音楽学者であり、リュートやヴィオラ・ダ・ガンバといった古楽器を演奏される小川伊作先生が、ただただお一人で、企画、運営、当日司会、演奏までも担われる音楽祭で、例年9月に大分市公会堂にて行われる。


内容は、小川先生の司会のもとひたすらにアマチュア古楽ファンの皆様が演奏を進めていく、いわば「古楽のアマチュアにとっての聖地」のような場になっている。しかしさすがに熟練の皆様で、演奏のクオリティも高く、バラエティも豊富で数時間があっという間に過ぎる気がする。

近年は地方TVにてその様子が取り上げられるなど知名度も増し、お客様も200名ほどの地元の方々が集まりにぎわっている。私も客席に混じって拝聴していると、周りの聴衆のおしゃべりから普段はクラシックにさほど馴染みのない方々が集まっている様子。古楽の裾野を広げるという意味でも非常に意義深い。「古楽の演奏会やイベント」となると、客席はどうしてもコアなファンのいつもの顔なじみの方々が集まるにとどまることが多く、なかなかより多くの人に古楽の魅力を伝えるということが難しい現実がある中、とても立派な音楽祭だなと感心させられる。

しかし、25周年を迎える今回、なんと「ファイナル」と銘打っての会となっているではないか。。。
小川先生にお話をお伺いすると、もともと個人的な趣味の感覚で始めたもので、そろそろ潮時かな、というどちらかというとアッサリした理由での幕引きの様だ。しかし、別府の地で、このように古楽に身近に接することができる機会が失われるのは非常に勿体無い。水面下ではこの企画の引継ぎをどうするか、様々な検討もあるようだ。是非とも、せっかく育った古楽を気軽に楽しめる芽、今後さらなる進化を期待したい。
さて、お次は「新・福岡古楽音楽祭」について。
今回は様々な日程調整上、10月16日~19日の4日に渡る日程となった。今回のメインゲストはチェンバリストの西山まりえさんを中心としたアンサンブル「パルテノペ」の皆さん。初日である16日のランチタイムコンサートには、古楽の演奏会では異例の1300名ほどのお客様が!プログラムはイタリアの音楽ということで、ヴィヴァルディやコレッリと共に、イタリア音楽の影響も十分に受けたバッハによる「イタリア協奏曲」トリオ版(懸田貴嗣さんアレンジ。)も登場。もともとこういう編成だったのじゃないか、もしくはこんな風に聴いて来なかったっけ?と思えるような全く違和感のないアレンジで驚きでした。
「古楽いろは塾」でのまりえさんの実演付き講義、「昔の楽器」講義の中でチェロの歴史をわかりやすく解説いただいた懸田さん、出演の皆さんのお陰か、集まったお客様同士もなにかいつもより親密な朗らかな雰囲気が終始だたよっていた。![]()
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今回はその他にゲストとして新進気鋭のリコーダー奏者、井上玲さんにもお出でいただき、子供の為のワークショップ、またリコーダーの歴史についても講座を受け持っていただいた。![]()
講座の為にたくさんのリコーダーをお持ちいただき実演付きでの講座だったのだが、私もリュートからモダンギターまで、4本を持ち替えながら伴奏した。こうして二つの異なる楽器の、様々な時代の楽器の変遷をみることではっきりした時代の趣味の移ろいを感じることができ、大変興味深い内容でした。
数年前から実行委員のメンバーとして関わらせていただいており、毎月のミーティングを重ねつつ企画を練り込んでいきます。企画段階では様々な観点から問題も多々あり、大変なのだが、いざ始まってみて、集まっていただいたお客さま皆さまの楽し気なお顔を拝見していると、「やっぱり貴重な会だな、やって良かったな」と実感します。
九州の古楽は、まだまだこれから!盛り上げていくバイ!!!
(太田耕平)