コレッリのソナタ作品5は二重奏曲?【今谷 美芳】

来る2023年9月10日のコンサートでは私が大好きな至宝の傑作、コレッリの作品5をヴァイオリニストの倉田輝美さんとご一緒に演じる機会を頂きましたこと、感謝申し上げます。

このソナタは、一般的にヴァイオリンソナタ、と認識されることが多いと思います。出版物や、コンサートのプログラムでも、『ヴァイオリンと通奏低音のソナタ』と書かれているものが多く見受けられますね。

しかし、実はこのソナタは、元々、ヴァイオリンとヴィオローネの二重奏曲であったという説が音楽史の研究から有力視されています。
1600年代には、ヴァイオリン・ソナタには主に二種類がありました。ソロ・ソナタと、上声とバスの二声が同等の重要性を持っている二重奏ソナタです。作品5のオリジナルタイトルは『ヴァイオリンとヴィオローネもしくはチェンバロのためのソナタ』となっています。
ヴァイオリンとヴィオローネの二重奏ソナタを原型として、ヴィオローネの代わりに、和声楽器を据えた新しいスタイル、というイメージと私は捉えています。

『…新しいスタイルでは、リュートがヴァイオリンに匹敵する重要性を持ったスタイルで書きたい』と書かれた1679年のコレッリ自身の書簡が見つかっていて、和声楽器にヴァイオリンと同等の重要性を持たせた二重奏ソナタを書く意思あったことに気付かされます。
二重奏としての作品のハーモニーをお楽しみいただけたら、という気持ちで演奏させていただきたいと思っています。

チェンバロ 今谷美芳

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