スキャンダラスな公演?!【松隈 聡子】

いよいよ今週末となりました、「血で染まるバロック時代の事件簿」公演。
今回は、私生活でスキャンダラスな事件が起こったバロックの作曲家の作品を集めるという一風変わったプログラムとなっています。
このコンセプトを考えた時に一番初めに思いついたのがアレッサンドロ・ストラデッラ。17世紀イタリアの作曲家です。個人的に彼の室内楽とオラトリオを演奏したことがあったのですが、美しい旋律、ほとばしる勢い、熱い情熱を感じてとても好きな作曲家でした。
ところが彼の経歴を見てみると、プレイボーイだったり、教会のお金を使い込んだり、貴族の愛人と恋仲になり追われたりと、枚挙にいとまのない騒々しさ。
それでもやはり作曲家としては実力を認められており、38年という短い人生ながら、当時多くの作曲家に多大な影響を及ぼしたそうです。
今回は彼の作品から、弦楽器のための曲を2曲演奏します。美しい佇まいの中に波瀾万丈さが垣間見える気がするのですが、聴いていただく皆さまのご感想が楽しみです。

(ストラデッラ)

さて、次はフランスへ飛んで、ルクレールとギユマンという作曲家の作品をとりあげます。
2人はストラデッラより少し後の時代、18世紀に活躍した作曲家兼ヴァイオリニストです。実は2人とも同じヴァイオリンの先生に師事しており(ジョヴァンニ・ヴァッティスタ・ソミス)、またそのソミス先生はあのコレッリやヴィヴァルディにもヴァイオリンを教えたということで、非常に優秀な教師だったようです。
また、彼らはルイ15世に仕えており(ルクレールが1737年まで、その後すぐにギユマンが就任)、さらに2人とも失意の中変死するという運命を辿っています。
そんな彼らの作品、ルクレール作曲 2つのヴァイオリンのためのソナタ Op.12よりNo.1 ロ短調、音楽の慰め 第2集よりシャコンヌ、ギユマン作曲 無伴奏ヴァイオリンのための楽しみ Op.18よりカプリッチョ 2番 ハ短調をお届けします。

(ルクレール)

波瀾万丈な人生を送った作曲家たちの美しい作品をどうぞお楽しみください。



松隈 聡子

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